インタビュー
化学物質過敏症Aさんの転地先を訪ねて
住みやすい日本を! 更新日 2000/10/01 掲載日 2000/10/01
作りましょう!

2000年9月9日福島県相馬郡飯舘村にて当協会の伊藤代表がインタビューした。 下記はAさんの化学物質過敏症の発病にいたる経緯と協会との出会いを、Aさんの手記と伊藤代表の 見解をまじえながらまとめたものです。
Aさんと協会の出会い
福島の新居 Aさんは1998年5月1日に建築条件付きの新築戸建て住宅が完成したので入居した。 翌日からのどに痛みと微熱を感じる。病院に行ったが原因がわからず、いろいろな病院を 転々とした。そのあいだ次々と症状が出てきて、検査と薬でむだな時間がすぎてしまった。 1998年12月にたまたま産経新聞に化学物質過敏症についての記事(※)があり、 「生活環境協会」が紹介されていたので電話してアドバイスを受けた。
(※)1998年11月14日に生活環境協会が設立され、12月10日に産経新聞に 協会紹介記事が掲載された。Aさんは偶然その記事を見て電話してくれたもの。

1999年1月下旬に森下記念病院で宮田先生に診てもらった。化学物質過敏症による 中枢性眼球運動障害と診断され、新築住宅での化学物質被爆であることがわかった。 発病から8ヶ月も原因不明の状態だったわけだ。シックハウス症候群の患者の多くは 発病から原因がわかるまでに多くの時間がかかるケースが多い。
その後も協会とAさんとの交流は続き、2000年7月に福島県に転地したとの連絡を受けた。 化学物質過敏症患者が選んだ住まいの立地や、それをとりまく環境はどんなものなのか、 また転地先に移って感じたことや症状はどうなったかも知りたくて2000年9月9日 Aさんの転地先である福島県相馬郡飯舘村を訪ねてインタビューした。 現地は山の中の一軒家。築11年の借家だが4〜5年前から人は住んでいなかった。
Aさんインタビュー
[伊藤]
こちらにきて体の様子はいかがですか?
[Aさん]
外にいるときは臭いがないので息苦しくなることはほとんどなく、自分が病人であることも 忘れるほど!
[伊藤]
家はどんな状態ですか?
[Aさん]
家は築11年の一軒家の借家ですが、室の中が防虫剤のような臭いがしみ込んでいて 使える部屋がほとんどありません。 入居1ヶ月前から全室換気をしましたが、全然効果がないので臭いのひどい部屋は しめきったままです。臭いの少ない部屋だけを常時窓を開け放して何とか使用しています。しかし 昼夜解放しないと使えません。
[伊藤]
埼玉のご自宅ではどんな様子でしたか?
[Aさん]
外でも室内でも常に苦しくなっていました。特に合成洗剤や、シャンプー、 リンスの臭いがいやで近所の家から出る洗濯、入浴、食器洗いの臭いに悩まされ 窓を開けたり閉めたりで大変でした。臭いの少ない午後のいっときと 夜中の2時〜5時がほっとできる時間でした。家の中でもマスクを使っていたし、外出 時には完全に着用していました。
[伊藤]
化学物質にふれると体はどんな風になるのですか?
[Aさん]
始めの頃は 化学物質に接触すると、いきなり「ガーン」となぐられたようで、全身の力が抜けて 一気にバタンと倒れそうになりました。患者さんの多くはそのようです。
[伊藤]
こちらへ来てから症状は変わりましたか?
[Aさん]
変わってきました。 車に乗ったときなどゲップがすごく出て下痢をします。 体が化学物質を出そうとしているような感じです。そのまま乗り続けると「ガーン」という感じに またなりますが、そのとき降りていればならないのかもしれません。 また最近汗が出るようになりました。初めの頃は夏でも寒くて寒くて。 ガーンときた瞬間に体がさむく、手足が冷たくなり、 不整脈になりました。循環機能がいきなり低下するようでした。 女性で冷え性の人は気をつけた方がいいと思います。
[伊藤]
こちらへ来てガーンとなぐられたような感じになりましたか?
[Aさん]
1回だけあります。戸棚にゴキブリだんごが入っているのを知らずに 台所に立ったらいきなりガーンときました。取り除いてからは大丈夫です。
[伊藤]
ゴキブリだんごはホウ酸でつくるがそれだけではないのかなー
[Aさん]
絶対違う....絶対違う!
[伊藤]
転地して普通の生活ができているようですが、環境のなかで一番 変ってほしいものは何ですか?
[Aさん]
それは空気です。 外も室内の空気も両方変わらないとだめです。

あとがきと感想
福島県の飯舘村へ転地して2ヶ月、きれいな空気の中で、生活の中から出るさまざまな臭いや 化学物質にふれることがすくない、大変快適な生活ができた 喜びを語ってくれた。 Aさんのマスクをはずした顔や、元気な様子をみたのは今回が初めてであった。 ここ飯舘村は雪は少ないが気温が零下10度C以下になる。しかし 部屋の臭いで一日中窓を開け放しにしないと暮らせないため、近々埼玉に帰らざるをえない。 彼女の娘(4歳)は自宅に帰る話をすると泣くし、母子ともに帰りたくなとの気持ちが 伝わってきた。 飯舘村役場の職員、大家さん、また近所の方々におせわになったことを感謝するとともに 必ず戻ってきたいとの思いを語ってくれた。 続く...


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